二人の出会いは1980年代後半に遡る。トップアイドルとして一世を風靡した川崎麻世と、アメリカ出身の長身モデルだったカイヤ。1990年に結婚した当初は、まさに絵に描いたような国際派の美男美女カップルとして世間の羨望を集めていた。旧ジャニーズ事務所出身の端正なルックスを持つ夫と、率直で情熱的な自己表現を持つ外国人妻の組み合わせは、当時の芸能界でもひときわ異彩を放っていたのだ。
風向きが変わったのは1990年代半ばからだった。女性問題の発覚、謝罪会見に同席したカイヤの鬼気迫る表情、そしてそこから生まれた「恐妻」という強烈なパブリックイメージ。テレビ各局のワイドショーや芸能ニュースは、この構図を面白おかしく増幅させた。自宅での攻防を再現するバラエティ番組は高視聴率を叩き出し、当人たちも自らそのパロディを演じることで需要に応え続けた。だが、ビジネスとして成立していたはずの「夫婦喧嘩」は、知らず知らずのうちに二人の私生活の境界線を侵食していった。
長男と長女という二人の子どもに恵まれながらも、生活リズムや金銭感覚、子育ての方針、さらには異文化の違いに起因するすれ違いは年々拡大していく。2000年代初頭にはすでに実質的な別居状態へと突入。お互いが別の拠点を持ちながら、テレビカメラの前でのみ「仮面夫婦」を演じるという奇妙な均衡が、実に十数年にもわたって続くこととなった。