甘い果肉だけを想像してはいけない。スイカ(学名:Citrullus lanatus)をイヌ(学名:Canis lupus familiaris)に与える際、最大の脅威となるのは種と外皮だ。
消化管の構造が人間とは決定的に異なる。犬の腸は肉食寄りの短い構造をしており、植物性の強固な繊維や種子を分解・消化する能力をほとんど持たない。アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)の毒性・危険物データベースでも、スイカの種子は消化管を通過できずに閉塞を引き起こす物理的ハザードとして明確に警告されている。
特に危険なのが、緑色と白色の外皮部分だ。硬い外皮を噛み砕いて飲み込むと、鋭利な破片となって胃壁や腸粘膜を傷つけるだけでなく、狭い十二指腸や結腸に詰まり「機械的イレウス(腸閉塞)」を誘発する。公益社団法人日本獣医師会の関係者からも、夏場になると「スイカの皮を丸呑みした小型犬の緊急内視鏡・開腹手術」の症例が定期的に報告されている。種も同様だ。大型犬なら数粒の種は便と共に排出されることもあるが、日本の住環境で主流を占める体重5kg前後の小型犬にとっては、硬い種数粒ですら腸管を塞ぐ致命的なプラグになり得る。