禪院家の血脈が誇る至高の相伝術式「十種影法術」。その神髄は、単に十体の式神を使い分けることにはない。真の恐ろしさは、破壊された式神の能力が他の式神へと継承される「継承」のシステムと、自身の影の中に無限の空間を構築する拡張性にある。
死滅回游の凄惨な戦局において、伏黒恵が見せた領域展開「嵌合暗翳庭」の未完成な領域は、彼の圧倒的な戦闘センスと執念を物語っていた。周囲の建造物を影で飲み込み、己の分身を生み出して敵を畳みかける戦術は、従来の術師の領域を超越した異彩を放つ。
そして最凶の式神「八握剣異戒神将魔虚羅」の存在である。あらゆる事象への適応能力を持つこの神将は、古来より十種影法術師の誰も調伏できなかった。宿儺はこの能力の真価を見抜き、伏黒の肉体を奪うことで魔虚羅の適応力を五条の無下限術式へとぶつけた。伏黒の術式は、まさに世界を破滅へと導く鍵となってしまったのだ。