尾崎さんの遺体は、死の翌日である4月26日に東京大学医学部法医学教室にて、権威である支倉逸人教授の手によって司法解剖が行われました。当初、遺族への配慮および世間への影響を考慮し、警察と病院側は直接死因を「肺水腫(はいすいしゅ)」とだけ発表しました。
しかし、解剖鑑定書に記されていた真実は、極めて過酷な生理学的異常でした。体内からは致死量を大幅に超える覚醒剤(メタンフェタミン)が検出されており、血中濃度は通常の致死的水準(0.5〜1.0μg/ml程度)を遥かに上回る2.64μg/mlに達していました。胃内部からも未吸収の覚醒剤成分が検出されたことから、注射ではなく経口(直接飲み込む形)で一度に大量摂取したことが判明しています。
覚醒剤の急激な過剰摂取により、交感神経が極度に緊張して血圧が異常上昇し、左心不全が誘発されます。その結果、血液中の水分が肺胞内へ一気に染み出し、自らの体液で気道が塞がれる急性肺水腫を発症したことが、死に至る直接的な生理メカニズムでした。