アジア唯一の演博を徹底解剖!坪内逍遙の偉業と知られざる見どころ

アジア唯一の演博を徹底解剖!坪内逍遙の偉業と知られざる見どころ

アジア唯一の演博を徹底解剖!坪内逍遙の偉業と知られざる見どころを徹底追究! 知っておきたい 重要ポイントを凝縮して配信します。

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早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の成り立ちを語る上で欠かせないのが、近代日本文学・演劇界の巨星である坪内逍遙の存在です。逍遙は、小説の革新を唱えた『小説神髄』の著者として教科書でも広く知られていますが、その生涯をかけた最大の偉業は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲・詩の全作品(全40巻)を単独で日本語に完全翻訳した『シェイクスピア全集』の完成でした。1928(昭和3)年、逍遙の古稀(70歳)の祝賀とこの金字塔的業績を記念し、各界の有志や門弟たちの熱狂的な寄付活動によって本館が誕生しました。

逍遙が遺した手記や当時の関係者証言によると、逍遙自身は自らの名前を冠した記念館の設立に当初は固辞の姿勢を見せていたと伝えられています。しかし、「個人の顕彰ではなく、日本にまだ存在しない世界水準の演劇研究の殿堂を創設する」という関係者の熱意に心を動かされ、自らの蔵書や収集資料を惜しみなく寄贈することを決断しました。

博物館の建物そのものが、極めて精緻な演劇的仕掛けに満ちています。設計を手掛けたのは、早稲田大学建築学科の教授であり、後に日本芸術院賞を受賞した名建築家・今井兼次です。今井は16世紀イギリス・エリザベス朝時代に実在した劇場「フォーチュン座」の建築仕様書を徹底的に調査し、その構想を忠実に採り入れました。

正面玄関の張り出し部分はそのまま劇場の舞台(ステージ)となり、建物の左右に配された外階段は劇場の桟敷席(ボックス席)、正面2階のテラス部分はバルコニー席に見立てられています。つまり、前庭の広場に立つ来館者自身が劇場の平土間(ピット)にいる観客となり、建物全体がひとつの巨大な劇場として機能する構造です。東京都選定歴史的建造物および新宿区指定有形文化財にも選ばれているこの建築美は、訪れる者を一瞬で近世ロンドンの熱気へと誘います。

阿部 裕樹
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阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。