曲名となっている「サウダージ(Saudade)」は、ポルトガル語において極めて独特かつ深いニュアンスを持つ言葉です。日本語に直訳すれば「郷愁」「思慕」「憧憬」「切なさ」などに置き換えられますが、現地では「かつて存在した大切なものを失った喪失感」と「それに対する温かい愛惜」が入り混じった、他言語へ一言で翻訳不可能な感情と定義されています。
ポルトガルの大衆歌謡「ファド」やブラジルのボサノヴァでも頻繁に歌われるこの概念を、ポルノグラフィティは哀愁漂うラテン調のメロディと融合させました。単に「悲しい」「寂しい」と叫ぶのではなく、かつて愛し合った事実そのものを慈しみながらも、二度と戻らない現実を受け止めようとする主人公の心情が、この一言に見事に集約されています。