東京23区内の公立美術館の先駆けとして誕生した板橋区立美術館は、いわゆる「名作のブランド買い」に頼らない、極めて骨太な収集・展示方針で日本の美術館界を牽引してきました。当初から地域密着と専門性の両立を掲げ、知名度に惑わされず作品の本質的価値を見極めるキュレーションは、学芸員や美術愛好家から長年リスペクトを集めています。
その歴史に新たな息吹を吹き込んだのが、2019年に完了した板橋区立美術館のリニューアル建築です。緑豊かな赤塚溜池公園の自然環境とシームレスに調和する外観、自然光を巧みに取り入れたエントランスロビー、そして作品保護基準を大幅に引き上げた展示室。バリアフリー設計の徹底とともに、鑑賞者が作品と1対1で深く対話できる静謐な空間設計が施されました。
館内には誰もが気軽に立ち寄れるフリースペースや図書コーナーが拡充され、地域に開かれた「憩いの文化的拠点」としての存在感を一段と強めています。