毎年8月が近づくと、上野村には航空関係者のみならず、鉄道、医療、電力、製造業など多種多様な企業の若手社員や研究者が相次いで訪れる。組織の規模拡大や世代交代に伴う安全意識の低下、いわゆる「風化」を防止するためだ。
木々に囲まれた急斜面を汗を流して登り、刻まれた墓標を前に静聴する体験は、文字通りのマニュアル学習では決して得られない強い実感を残す。「安全とは自然に保たれる状態ではなく、人の手で守り続けなければ容易に崩壊するものだ」。静寂に包まれた山頂が語りかける問いは、時代が移り変わっても色あせることはない。