関東と関西で男雛と女雛の並び順が逆転している事実は、伝統工芸の世界でも有名な謎の一つだ。向かって左に男雛を置く関東風と、右に置く京都を中心とした関西風。この違いを生み出した最大の分岐点は、近代化を急ぐ明治から大正、そして昭和への改元期にあった。
日本古来の伝統では「左上座(向かって右が上位)」が鉄則とされていた。京都の職人たちは今もこの古式を頑なに守り続けている。一方で、西洋の外交礼儀である「右優先(向かって左が上位)」を取り入れた近代皇室の儀礼が普及した。昭和天皇の即位の礼において、ご即位の立ち位置が国際基準に合わせて変更されたことが、東京を中心とする飾られ方に決定的な影響を与えたのだ。