当然ながら、気象学的な観点から見れば特定の個人の移動によって大規模な大気循環が左右されることはあり得ません。大雪や異常高温の背景には、偏西風の蛇行やエルニーニョ・ラニーニャ現象、北極振動といった巨大な地球規模の気候メカニズムが存在しています。
ではなぜ、これほどまでに「松岡修造=天候の支配者」という認識が定着したのでしょうか。心理学における「確証バイアス」が大きく影響しています。人間は無意識のうちに、自分の印象や仮説を裏付ける情報ばかりを記憶し、反する事実を忘れやすい傾向があります。
「松岡修造が海外にいるときにたまたま寒くなった」という強烈なエピソードだけが人々の記憶に刻まれ、平穏な気温だった渡航は都合よく忘れ去られていくわけです。しかし、気象庁の発表を待つよりも「修造さんが日本に帰ってきたから明日から暖かくなるぞ」と笑い飛ばす情緒的な安心感こそが、この都市伝説の最大の推進力と言えます。