警察の威信を揺るがせた主犯格「かい人21面相」の正体については、単独犯ではなく役割分担が明確化された複数人による犯行グループであることが捜査本部の一致した見解です。グループ内には、文章の作成および全体の指揮を執る首謀者、現金受け渡しの連絡や実行を担当する部隊、警察無線を傍受・分析する通信担当などが存在していたと考えられています。
捜査過程において最も犯人の実像に肉薄した瞬間が、現場で複数回目撃されたキツネ目の男の目撃証言でした。1984年6月の丸大食品脅迫事件における国鉄(現JR)高槻駅周辺、同年11月のハウス食品脅迫事件における名神高速道路大津サービスエリアおよび草津パーキングエリア付近で、不審な行動を取る男が捜査員によって直接目撃されています。
当時、似顔絵に酷似しているとして重要参考人「F」として警察の徹底マークを受けたのが、後に作家として活動する宮崎学氏でした。宮崎氏はかつてグリコとの労使トラブルに関与していた経歴や、裏社会との接点から嫌疑をかけられましたが、アリバイの成立や筆跡鑑定などの結果から犯行への関与は完全に否定されました。宮崎氏自身も自著などで警察の追及を受けた当時の様子を詳細に語っており、犯人像の特定がいかに困難を極めたかを物語っています。