事件が起きたのは、2017年6月5日の夜間でした。神奈川県大井町の東名高速道路下り線、大井松田IC付近事故の概要を振り返ると、発端は中井パーキングエリア(PA)での些細な注意でした。
静岡市で自動車整備工場を営む萩山嘉久さん(当時45)の一家4人が乗ったワゴン車がPAを出ようとした際、通行の邪魔になる形で駐車していた石橋和歩被告(当時25)の乗用車と遭遇しました。嘉久さんが「邪魔だ」と注意して車を発進させた直後、激昂した被告による執拗な追尾が始まりました。
公判記録や報道各社の取材データによると、被告は高速道路本線上で約1.4キロメートルにわたり、幅寄せや極端な減速などの割り込み運転を4回連続して敢行。制限速度100キロが設定されている高速道路の追い越し車線で、萩山さんの車を強制的に減速させ、完全に停止へと追い込みました。
被告は車を降り、ワゴン車の運転席ドアを開けて嘉久さんの胸ぐらを掴むなど暴行と恫喝を加えていました。車内では妻の友香さん(当時39)が必死に謝罪を続け、後部座席には当時高校生と中学生だった2人の娘が震えていました。停止から数分後、追い越し車線に停車していたワゴン車へ後続の大型トラックが時速約80キロで追突。車外に投げ出された嘉久さんと友香さんは死亡し、娘2人と被告自身を含む同乗者ら計4人が重軽傷を負う凄惨な結果を招いたのです。これが、のちに日本中を揺るがすこととなった東名あおり運転事件の経緯でした。