うさぎの飼育において絶対に忘れてはならない生物学的真理は、「うさぎの主食はペレットではなく牧草(チモシー)」であるという事実です。
理想的な食事のバランス、いわゆるうさぎのチモシー牧草とペレットの黄金比率は「牧草85%以上:ペレット10〜15%未満(おやつ・野菜は数%以下)」です。ペレットは野生下では摂取できないビタミン・ミネラルを補完するための「総合栄養サプリメント」と位置づけるのが、現代獣医学の共通見解です。
うさぎの消化管は、大量の高繊維質(セルロースやリグニン)を常に発酵・通過させることで健康を維持しています。ペレットは製造工程で細かく粉砕・圧縮成型されているため、咀嚼時の歯のすり合わせ運動(横すり潰し)が牧草に比べて極端に少なくなります。ペレットでお腹がいっぱいになり牧草を食べなくなると、以下の2大破綻が即座に発生します。
第一に、「不正咬合(歯の伸び過ぎ・棘形成)」です。うさぎの歯は生涯伸び続けますが、牧草の硬いプラントオパール(ケイ素)をすり潰すことで自然摩耗します。ペレット過多の個体は歯が均等に削れず、口腔粘膜や舌にトゲ状の歯が突き刺さり、激痛から摂食不能に陥ります。
第二に、「消化管うっ滞(GIステイシス)」です。粗繊維が不足すると胃腸の動きが停滞し、胃内に毛や内容物が停滞してガスが発生。激痛によってショック死に至るケースも珍しくありません。「ペレットを欲しがるから与える」という行為は、自ら愛兎の消化器系を破壊しているに等しいのです。