テレビ番組や大型音楽特番で『じょんがら女節』が披露されるたび、ネット上の一部では「歌いながらあれほど激しく三味線を弾くのは不可能ではないか」「当て振り(口パク・演奏の当て振り)ではないか」という疑問が散見されることがありました。
しかし、これは完全な誤解です。長山洋子は民謡歌手の父の影響を受け、9歳から三味線を本格的に開始。10代前半で津軽三味線の名門・澤田流に入門し、師範級の実力を認められて「澤田勝姫」の名取を襲名しています。アイドル時代にもその腕前を隠し持ち、演歌転向時に満を持して伝統芸能のスキルを開帳したという確固たる経歴を持っています。
2003年の『第54回NHK紅白歌合戦』をはじめとする生放送のステージでは、三味線の胴の内側に仕込まれた集音マイクから撥が皮を激しく叩く生々しいアタック音がクリアに響き渡り、会場の空気を一変させました。弦が擦れるノイズや即興のオブリガート(助奏)のニュアンスは、完全な生演奏でしか出し得ない迫力であり、その本物の技量が疑惑の声を完全にねじ伏せてきたのです。