山内うどんの名が全国区へと飛躍した歴史的契機として、2006年公開の映画『UDON』(本広克行監督)の存在を無視することはできない。劇中でユースケ・サンタマリア演じる主人公らが山奥のうどん屋を探し求めて迷い込むシーンにおいて、山内うどんは象徴的なロケ地としてスクリーンに刻まれた。
当時巻き起こった空前の讃岐うどんブームから20年近くが経過した現在も、作品の面影を求めて訪れる映画ファンやカルチャー愛好家が後を絶たない。店の裏手に積まれた膨大な薪の山、素朴な木の引き戸、そして緑豊かな山あいの風景は、過度な観光地化を拒むかのように当時の佇まいをとどめている。
大手レビューサイトやSNS上に投稿された生の声・口コミを精査すると、評価の傾向は極めて明確だ。
「店の裏で薪をくべている光景を見るだけで期待値が跳ね上がる。麺のねじれ具合が凄まじく、出汁と一体化して喉を滑り落ちていく」(30代男性・東京からの旅行客)
「ひやあつを啜った瞬間、イリコの澄んだ香りが鼻腔を抜けた。ゲソ天は衣がカリッとしていて、少し出汁に浸すと最高のおかずになる」(40代女性・地元香川)
一方で、手厳しい指摘やリアリティのある現場観察も存在する。
「坂道が狭く、大きな車だとすれ違いに気を使う。駐車場は台数があるものの舗装されていない区画もあり、雨の日は足元に注意が必要」(50代男性・ドライブ愛好家)
「いわゆる『剛麺(噛み切れないほど硬い麺)』を期待して行くと拍子抜けするかもしれない。山内の麺は硬さではなく、弾力としなやかさの極致」(20代男性・うどん巡礼者)
こうした生の証言が裏付けるのは、山内うどんが決して「インスタ映え」を狙ったハリボテではなく、愚直な日常の延長線上で本物の味を提供し続けているという確固たる事実である。