下処理が完了した栗を、艶やかな黄金色の甘露煮に仕上げる本調理のステップです。ここでは「着色の科学」と「糖分の浸透圧コントロール」が最大のポイントとなります。
くちなしの実で鮮やかな黄金色を引き出すコツ
天然の色素「クロシン」を含むくちなしの実は、栗の黄色を劇的に引き立てます。使い方のコツは、実を包丁の背や麺棒で軽く叩いて割り、繊維やお茶パックに入れて煮汁に加えることです。直接鍋に放り込むと細かい種が栗の表面に付着してしまうため注意が必要です。綺麗な黄色が栗に乗ったら、くちなしの実は途中で取り出します。長時間煮込み続けると特有の苦味が出てしまうためです。
砂糖の選び方と味を含ませる冷却工程
使用する砂糖は、雑味がなくキレの良い白双糖(しろざらとう)やグラニュー糖が最適です。上白糖でも作れますが、風味がやや重くなり、三温糖を使うと茶色く色づいてしまうため黄金色を目指す場合は避けるのが賢明です。
砂糖を3回に分けて加え、合計約20〜25分極弱火で煮たら火を止めます。ここで絶対に栗を急激に取り出してはいけません。浸透圧の原理により、煮汁が冷めていく過程で栗の内部に糖分がじっくりと染み込んでいきます。粗熱が取れるまで鍋に入れたまま放置し、完全に冷暗所で落ち着かせることが、芯まで甘くしっとり仕上げる最大の秘訣です。