日本の金融機関はかつてない岐路に立たされている。巧妙化する国際詐欺グループや闇バイトの資金洗浄に対抗するため、メガバンクから地方銀行、ネット銀行に至るまで、AIを用いた不正取引検知システムを本格稼働させた。しかし、この防犯の「盾」が、無実の市民を傷つける凶器と化している。
数千万件の取引を24時間体制で監視するアルゴリズムは、わずかな「普段と違う行動」を異常とみなす。フリマアプリでの頻繁な取引や、友人との割り勘アプリでの送金。これらが「マネロンの疑いあり」と機械的に判定され、人間による確認を挟むことなく、即座に口座がロックされる事例が多発しているのだ。