横山大観の富士山は、美術品オークションや高級画廊において常にトップクラスの取引額を記録します。大型の優品であれば数千万円から1億円超の値が付くことも珍しくありません。しかし、その圧倒的な人気と価格の高さゆえに、日本画界で最も多くの贋作(偽物)が出回っている作家としても知られています。
贋作に騙されないための見極めポイント
素人がオークションサイトや遺品整理の掘り出し物で大観の富士山を真贋判定するのは極めて危険です。本物を見分けるためには、以下の厳密な客観的証拠が必要です。
- 横山大観記念館の鑑定証書:東京・池之端にある公益財団法人「横山大観記念館」による正規の登録・鑑定証書が付属しているかどうかが唯一絶対の基準です。
- 落款(サイン)と印章の精密対照:大観は年代ごとに使用する落款の書体や印章(落款印)を厳格に変えています。筆勢の淀みや印影の微妙なズレは専門家による照合が不可欠です。
- 絵の具と筆致の品格:大観の富士は、どれほど大胆な構図であっても細部の筆致に迷いがなく、使われている岩絵の具や墨の質が極上です。安っぽい顔料や薄っぺらい紙質は偽物の典型例です。