投票用紙の書き方をめぐっては、インターネット上やSNSで様々な俗説や誤解が飛び交っています。開票現場の実務と公職選挙法に照らし合わせ、特に注意すべき2大トラップを検証します。
「同じ略称」を書いた票はどうなる?按分票の冷酷な現実
近年の国政選挙で度々物議を醸しているのが、比例代表 略称が同じ場合の按分票問題です。実例として、立憲民主党と国民民主党がともに公認略称を「民主党」として総務省に届け出ているケースが挙げられます。
投票用紙に「民主党」とだけ書かれた票があった場合、開票所ではどちらの党への投票かを判別できません。この場合、その票は無効にはならず、両党が獲得した「明白な有効得票数」の比率に応じて、小数点第3位まで細かく割り振る「按分(あんぶん)」という処理がなされます。例えば「立憲民主党に0.632票、国民民主党に0.368票」といった具合です。特定の政党を明確に応援したい有権者にとって、意図しない他党へ票の一部が流出してしまう現象は大きなデメリットです。略称ではなく、正式な政党名(例:「立憲民主党」「国民民主党」)を省略せずに正確に書くことが自衛策となります。
「白票は抗議になる」という最大の神話と無効票の実態
選挙のたびに「納得のいく候補がいないから白票で抗議の意思を示す」という言説が見受けられます。しかし制度上、比例代表 白票の扱いと影響を客観的に見ると、抗議としての実効性は皆無と言わざるを得ません。
白票は集計上、すべて「無効票」として一括処理されます。投票率の母数には参入されるものの、ドント式による議席配分の計算式からは完全に除外されます。つまり、白票を投じる行為は「議席決定の計算から自ら離脱すること」と同義であり、結果的に強固な支持母体を持つ組織票の価値を相対的に高めるだけに終わります。白票に政治的プレッシャーを与える力は一切ありません。
また、比例代表 無効票になる書き方として現場で頻発するのが「他事記載(たじきさい)」です。「自民党 がんばれ」「日本維新の会 ○」「共産党 だめ」といった応援メッセージや記号、批評を書き加えると、公職選挙法第68条第1項第5号に基づき、投票全体が完全に無効となります。投票用紙には指定された名称以外の文字を1画たりとも書いてはなりません。