明治政府のプロパガンダによって、新撰組は長らく「逆賊」「血に飢えた狂犬」として歴史の片隅に追いやられてきた。昭和期に司馬遼太郎をはじめとする作家陣が彼らの生き様をロマンとして蘇らせて以降、評価は劇的に反転したが、2026年現在の学術界では、さらに冷静な治安史・都市防衛論としての視点が確立されつつある。
尊皇攘夷派のテロリズムが頻発し、放火や暗殺が日常化していた当時の京都において、彼らは法と秩序を回復するための「私設即応警察」として機能していた側面を持つ。国家体制の崩壊期において、武力を独占できない統治機構がいかに民間の武力集団に治安を委託し、そして制御不能に陥っていったのか。現代の世界情勢とも重なる治安維持部隊の光と影が、新撰組というフィルターを通して再検討されている。