離婚から間もなく、橋幸夫は50代の一般女性との再婚を発表した。さらに80歳を機にした歌手活動引退の宣言、そしてその後の引退撤回という目まぐるしい展開は、ワイドショーの格好のネタとなった。世間が騒然とするなか、元妻の周辺からは溜息すら漏れ聞こえてこない。
「終わったこと」。近しい知人が漏らしたその一言に、彼女の心境が集約されている。元夫がどのような晩年を演出しようと、もはや自らの人生には何の関係もないという徹底した無関心。愛憎の果てに辿り着いた境地は、怒りではなく完全なる解脱だった。その冷涼なまでの割り切りが、かえって彼女の気高い品格を際立たせている。