「直営店以外で買ったバッグのロゴの配置がわずかにズレている」「知恵袋で偽物だと指摘された」――二次流通やフリマアプリの普及に伴い、ロゴマークを巡る鑑定の不安と誤った俗説がネット上を駆け巡っている。大手ブランド買取店のアプレイザー(鑑定士)の証言や流通データをもとに、現場のリアルな見分け方を検証する。
誤解1:「直営店購入なら刻印やフォントに一切の個体差はない」という幻想
ネット上の掲示板やSNSで散見される最大の誤解が、「正規品であれば、刻印の濃淡やロゴのミリ単位のズレは絶対に存在しない」という思い込みである。
現実は異なる。特に職人の手作業工程が多いエルメスやボッテガ・ヴェネタ、あるいは天然のトゴやトリヨンクレマンスといった個体差の激しいシボ革に熱プレス(箔押し)する場合、革の油分量や繊維の密度によって箔の乗り方や刻印の深さにわずかな個体差が生じる。これを「ネットの真贋チェック画像と線の太さが0.1ミリ違うから偽物だ」と断定してしまうのは早計である。
誤解2:フォントの特徴だけで真贋を見抜けるという過信
近年、スーパーコピーと呼ばれる不正品は3Dスキャン技術を用いて正規品の刻印版をナノ単位でスキャンし、精密なCNC彫刻機で金型を作成している。かつて真贋の決め手とされた「ルイ・ヴィトンの『O』が正円に近いかどうか」「シャネルの『C』の切り口の角度」といった初歩的なポイントは、上位のコピー品ではすでにクリアされている。