「都市部のインキュベーション施設では、ドローンを飛ばすことも大型自律走行ロボットを夜通し走らせることもできない。だが、ここならすべて室内と直結した敷地内で完結する」——KICKに入居するハードウェアスタートアップの開発責任者は、現場の優位性をそう熱っぽく語ります。けいはんなオープンイノベーションセンターKICKが今なぜ話題なのか、その決定的な理由は、都市部のオフィスビルでは構造的に不可能な「フィジカルな試作・実証実験空間」と「世界水準の研究ネットワーク」が高度に融合している点にあります。
KICKは、京都府が掲げる京都府産業創造リーディングゾーンの中核拠点であり、名実ともにけいはんな次世代イノベーション拠点の牽引役を担っています。総敷地面積約8.4ヘクタール、延床面積約3万5,000平方メートルという規格外のスケールを誇り、かつて職業体験施設として設計された頑牢な大空間・高耐荷重の建築構造が、重量級の試験機器や試作プラントを必要とする研究開発型スタートアップにとって理想的なアセットへと反転しました。
さらに、単なる不動産賃貸にとどまらず、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構(KRI)が主導する国際的な事業化支援ネットワークが直結している点が、メガベンチャーや投資家の注目を集める大きな起爆剤となっています。シリコンバレー、バルセロナ、イスラエルなど世界主要イノベーションハブとの連携協定を足場に、海外スタートアップが日本進出の足がかりとしてKICKを選択するケースが相次いでおり、関西発のグローバル・サンドボックスとしての地位を確立しつつあります。