大手家電量販店の配送設置スタッフや電気工事士の現場取材を進めると、都市部の単身者向け物件を中心に、驚くべき実態が浮き彫りになります。
都内のワンルームマンションに住む20代会社員の手記には、賃貸住宅特有の歯がゆい実情が綴られています。
「新居のミニキッチンにはコンセントが2口あるものの、どちらもアース端子が付いていない昔ながらのタイプでした。取扱説明書には『必ずアースを接続してください』と赤字で警告されているのに、部屋の設備がそれに対応していない。管理会社に電話しても『特に増設の予定はないのでそのまま使ってください』と曖昧な返事をされ、どうしていいか分からず放置していました」
現場歴15年を超える第一種電気工事士は、次のように警鐘を鳴らします。
「古い賃貸アパートを内見すると、キッチン周りなのにアース端子付きコンセントが未施工の物件が今なお数多く残っています。入居者アンケートや知恵袋などの相談を見ても、全体の4割近くが『アースの繋ぎ先がないから放置している』と回答しています。これは危険極まりない状態です。特に梅雨時から夏場にかけては結露や高湿度により、機器内部の絶縁抵抗値が低下しやすくなります。『少しピリピリしたけれど静電気かと思った』と証言される方の多くは、実際には初期の微弱漏電を体感しているケースが珍しくありません」
人間には「自分だけは事故に遭わない」と思い込む正常性バイアスが働きます。目に見えない電気のリスクだからこそ、知識の欠如と住居設備の制約が重なり、危険が日常の中に埋没してしまっているのが実態です。