新世界観光において最もトラブルの火種になりやすいのが、物理的な「境界線」を無自覚に越えてしまう歩行ルートの罠です。新世界という街は、南に数十メートル歩くだけで全く別の空気を纏う街区と接しています。
まず把握すべきは西成あいりん地区との境界です。新世界の南端に位置するジャンジャン横丁を南に抜け、阪神高速14号松原線の高架およびJR関西本線・南海電鉄の高架下を潜ると、そこは西成区萩之茶屋・太子地区、いわゆる「あいりん地区(釜ヶ崎)」の入り口となります。高架下の一本道を境界線として、ド派手なネオンと観光客の歓声が消え、簡易宿泊所(ドヤ)の看板やリサイクルショップ、シャッターを閉ざした商店が連なる独特のストリートへと景色が反転します。
次に注意すべきは日本最大級の遊廓の面影を色濃く残す歓楽街、飛田新地との位置関係です。新世界から南東方向へ徒歩約10〜12分、動物園前商店街(旧飛田本通商店街)を真っ直ぐ南下していくと、突如として料亭の提灯が灯る飛田新地のエリアへと吸い込まれます。Googleマップなどの地図アプリで「最短ルート」を選択して徒歩ナビを設定すると、外国人観光客や若いカップルが意図せず飛田新地の中心部に誘導されてしまうケースが2026年現在も多発しています。
地下鉄を利用する際の動物園前駅周辺の治安についても、出口の選択が運命を分けます。Osaka Metro御堂筋線・堺筋線の動物園前駅を利用する場合、通天閣・新世界方面へ向かう「1番出口」「5番出口」から地上に出れば、観光客で賑わう明るい大通りに直結します。しかし、誤って「2番出口」「4番出口」から南側に出てしまうと、駅前広場のベンチにたむろする高齢男性たちの視線に晒され、地理不案内な旅行者が「怖い」とパニックに陥る典型的な原因となっています。