ネット上に氾濫する断片的な情報を鵜呑みにすると、思わぬ落とし穴にはまります。その最たるものが、「植え替えと同時に施肥を行うべき」という誤った言説です。
手術直後の植物の根は、切断された断面や微細な傷口から雑菌が侵入しやすい無防備な状態にあります。ここに窒素・リン酸・カリウムなどの肥料成分が触れると、浸透圧のバランスが崩れ、根から水分が逆流して脱水する「肥料焼け」を引き起こします。植え替え時の元肥(緩効性肥料)をごく微量に混ぜる場合を除き、速効性の液体肥料などは植え替え後最低1ヶ月間は絶対に与えてはならないというのが植物生理学的な正解です。
もう一つの盲点は、地上部のボリューム調整を行わずに根だけを切り詰めてしまうミスです。根を整理して吸水面積が減少したにもかかわらず、上部に生い茂る大量の葉を残したままにすると、蒸散する水分量に根からの給水が追いつかず、自己防衛として葉を自ら落とす現象が起きます。これを防ぐためには、ゴムの木の剪定と挿し木をセットで行う必要があります。
徒長した枝や内側に密集した小枝を剪定バサミで切り戻し、葉の総面積を減らしてあげることで、根にかかる蒸散負荷を劇的に軽減できます。剪定した元気な枝は、水挿しや赤玉土に挿しておけば容易に発根するため、新しい苗として増やす楽しみも生まれます。なお、フィカス属の剪定時に切り口から染み出す乳白色の樹液には天然ゴム成分(ラテックス)が含まれており、肌に触れると皮膚炎を引き起こす恐れがあるため、作業時は必ずゴム手袋を着用してください。