いま北海道が直面している最大の異変が、都市部に出没するヒグマ、いわゆるアーバンベアの台頭です。その危険性を決定づけたのが、2026年6月の札幌市東区熊出没事案でした。早朝の閑静な住宅街に突如として1頭のヒグマが現れ、歩行者やゴミ出し中の住民、自衛隊駐屯地の隊員など男女4人に重軽傷を負わせた末、東区の丘珠空港近くの茂みで駆除されました。
なぜ本来は警戒心の強いヒグマが、大都市の真ん中にまで進出するのか。専門家が指摘するヒグマ出没理由には、主に3つの背景が存在します。
第一に、「人慣れした新世代」の誕生です。山奥で人間を恐れる経験を積まないまま、母熊に連れられて市街地周辺の緑地や農地で育った若い個体が、人間や自動車の音を恐れずに都市部へ定着しています。
第二に、エゾシカ急増と栄養環境の変化です。個体数が増加したエゾシカの死骸などを通じて高タンパクな餌に味を占め、行動圏を里山から平地へと広げています。
第三に、都市構造上の「緑の回廊」の存在です。札幌市などを流れる河川敷や防風林が、山林から市街地深部へとヒグマを誘導する自然のルートになってしまっている点が挙げられます。