爪のメラノーマを語る上で外せない臨床的特徴が「ハッチンソン徴候」である。19世紀の英国の外科医ジョナサン・ハッチンソンが提唱したこの兆候は、爪の黒い線が爪甲の枠を超え、周囲の皮膚(後爪郭や側爪郭)、あるいは指の先端にまで黒褐色の色素沈着として滲み出している状態を指す。
ジョナサン・ハッチンソンがこの現象を記述して以来、爪周囲の皮膚への色素拡大は爪下黒色腫の決定的指標として重視されてきた。良性の爪甲色素線条であれば、色素は爪甲内部のラインにとどまり、周囲の皮膚へ浸潤することはない。黒い線が爪の根元の皮膚にまで色濃く広がっているのを発見したならば、それは一刻を争う受診の合図だ。