現代の航空・気象業界によるシミュレーション解析は、ファンタジー号が直面した恐ろしい現実を浮き彫りにしている。ヘリウム気球の浮力計算と太平洋上空の偏西風データを2026年最新の気象モデルに入力すると、離陸から数時間後には高度6,000メートルから8,000メートル以上の高空へ達していたと推測される。
その高度における気温はマイナス30度以下、気圧は地上のおよそ3分の1にまで低下する。防寒服や酸素ボンベの備えが不十分だったゴンドラ内では、急速な低酸素症と低体温症が鈴木氏を襲ったはずだ。意識を失ったまま、強烈なジェット気流に乗って時速200キロメートル以上で東へ運ばれたファンタジー号は、やがてヘリウムガスの漏洩か内圧上昇による気球の破裂によって、太平洋の深海へと落下したと考えられている。