急性心不全とは、心臓のポンプ機能が急速に低下し、全身に血液を送り出せなくなる状態を指す。病名というよりは、心臓が停止に至った状態を示す言葉に近い。平幹二朗は、80歳を超えてもなお、毎日スクワットを欠かさず、発声練習を怠らないストイックな生活を送っていた。
それほどまでに自己管理を徹底していた彼であっても、目に見えない血管の老化や、舞台に立つことによる極限の緊張感は、確実にその肉体を蝕んでいたのかもしれない。死の直前まで「演じること」にすべてを捧げていた彼の生き様が、皮肉にも心臓に大きな負担をかけていた可能性は否定できない。