現在、オーストラリア本土で野生個体群を脅かす最大の敵の一つが「ヒゼンダニ」による疥癬症(かいせんしょう)だ。感染すると激しい痒みによって皮膚が荒れ、視力や聴力を失い、最終的には死に至る悲惨な病気である。
この危機に対し、2026年の現場では革新的な保護テクノロジーが導入されている。野生個体の巣穴の入口に設置されたスマートゲートだ。AIカメラが個体の皮膚状態を即座に解析し、感染が疑われる個体が通過した瞬間、頭上から安全な治療薬が自動噴霧される仕組みである。
人間に捕獲されるストレスを与えることなく、野生のまま治療を完結させるこの手法は、オーストラリア各地の保護区で目覚ましい成果を上げている。現地ボランティアの地道な活動とテクノロジーの融合が、絶滅の縁に瀕する希少種を守り抜いている。