SNSやネット掲示板(5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋など)で定期的に炎上する「カレーを混ぜる人は育ちが悪いのか」という議論。この強い忌避感の背景には、日本人が幼少期から無意識に刷り込まれてきた「和食の美意識」と「口内調味文化」が存在します。
和食には、白米とおかずを口の中で交互に合わせる「口内調味(三角食べ)」の伝統があります。皿の上で料理を原形をとどめないほどかき混ぜる行為は、視覚的な清潔感を重んじる日本文化において「下品」「不衛生に見える」と捉えられがちです。昭和から平成にかけての学校給食や家庭教育の現場でも、「食器の中を汚くかき回さない」という躾(しつけ)が徹底されてきました。
心理学的な観点からも、他人が皿の上で粘度の高いルーと白米をこねくり回す視覚刺激は、原始的な「不快感(嫌悪感情)」を惹起しやすいと分析されています。つまり、「混ぜること=育ちが悪い」という批判は単なる偏見ではなく、日本の伝統的な食卓規範を共有しているかどうかのリトマス試験紙として機能してしまっている側面があるのです。