本作を語るうえで絶対に外せないのが、2012年に亡くなった日本が誇る世界のデザイナー、石岡瑛子による衣装の数々だ。赤、黒、白、そして鮮烈な黄色。登場人物たちが纏う衣装は、単なる衣類を超えて、物語の感情そのものを視覚化したアート作品と言える。
怪盗マスクをつけた主人公たちのシルエットや、悪役オウディウス総督の率いる兵士たちの不気味で洗練された造形美。ターセム監督の強烈なヴィジョンと石岡瑛子の妥協なき造形美学が火花を散らした結果生まれた衣装群は、今なおファッション界やアート界にも多大な影響を与え続けている。スクリーンで蠢くその色彩の美しさには、言葉を失うほかはない。