清水伸といえば、数々の映画やTVドラマ、さらには強烈な印象を残すCM出演に至るまで、画面の隅に映るだけで作品の深度を一気に深める稀有な俳優だ。派手なアピールを削ぎ落とし、そこに生きる人物の生活臭や葛藤を呼吸するように表現するスタイルは、同業者からも絶大な信頼を寄せられている。今回の作品でも、彼の演じるキャラクターは過酷な運命に翻弄されながらも、静かに何かを耐え忍ぶ男の哀愁を全身から漂わせている。
「芝居をしている感覚を捨てること」。清水は過去の取材でそう語っていたが、今回の現場でもその哲学は徹底されていた。カメラが回っていない時間でも、彼は役に溶け込んだまま現場の空気を整え、共演者の熱量を引き出す触媒としての役割を果たしている。長年の経験に裏打ちされたその佇まいは、まさに作品の強固な骨組みそのものだ。