かつて日本の食卓では「天然モノ=高級・高品質」「養殖モノ=手頃だが味が落ちる」という固定概念が存在した。しかし、今やその価値観は過去の遺物となりつつある。
管理された環境で厳選されたエサを食べて育った養殖魚は、寄生虫(アニサキスなど)のリスクが極めて低く、年中安定した脂の乗りと味を提供できる。一方、栽培漁業によって育った魚は、広大な自然の海で運動しながら成長するため、身が引き締まった「天然物と同等の品質」を誇る。いわば、栽培漁業の魚は市場では「天然」として流通し、消費者はそれと知らずにその恩恵を受けているのだ。
消費者が重視すべきは、単なるラベルの表記ではなく、その水産物が持続可能な方法で供給されているかという点だ。海洋管理協議会(MSC)や水産養殖管理協議会(ASC)といった国際認証を受けた水産物を選ぶ動きは、2026年の日本でもすっかり定着している。