2013年10月13日、やなせたかし氏は都内の病院で急性心不全のため息を引き取りました。94歳という長寿でした。晩年はがんや腎不全など数々の持病と戦いながらも、「引退」という二文字を一切口にすることなく、最期まで現役のクリエイターとしてペンを走らせていたのです。
病床にあっても周囲を気遣い、茶目っ気たっぷりな笑顔を絶やさなかった彼。「僕はもうすぐ死ぬんだから」と冗談めかして語りつつも、次々に新しいイラストを描き上げ、周囲のスタッフを圧倒させました。生への執着ではなく、表現への純粋な情熱。彼にとって描くことは、呼吸することそのものだったのです。