なぜ韓国では長い間トイレットペーパーを流さない文化が定着し、現在も一部の建物でそのルールが残っているのでしょうか。「韓国のトイレットペーパーは水に溶けないから」という説が広く知られていますが、これは正確な事実ではありません。
韓国国内で一般に流通しているトイレットペーパーの多くは、韓国国家技術標準院(KATS)の基準に準拠した水溶性(水解性)ペーパーであり、水の中で自然に繊維がほぐれる構造になっています。にもかかわらず流せない最大の理由は、ペーパーの質ではなく「建物の排水管構造」と「水圧・水量」にあります。
日本の一般的な建築基準では、トイレの排水管に内径75mm〜100mm程度の太いパイプが用いられます。対して、韓国の古い雑居ビルや集合住宅では、コスト削減や過去の配管設計基準の違いから、内径50mm前後の細い排水管が採用されているケースが多々ありました。
さらに、高台の立地や老朽化したビルでは水圧が弱く、1回の洗浄で流れる水量が少ない便器も存在します。細い配管、低い水圧、少量の水という3つの悪条件が重なる場所で、一度にまとまった量のペーパーを流すと、排水管のエルボ(曲がり角)で紙が引っかかり、深刻な詰まりを引き起こしてしまいます。そのため、建物のオーナーや店主はトラブル防止策として「ゴミ箱に捨てる」ルールを徹底させているのです。