世界中で愛され続ける名作コミック・ストリップ『ピーナッツ』。作者のチャールズ・M・シュルツが生み出したキャラクターのなかでも、ひときわ独特の存在感を放つのがライナス・ヴァン・ペルトだ。並外れた知性と深い洞察力を持ちながら、親指をくわえ、青い毛布を引きずる姿は、作品を代表するシンボルとして定着している。
作中では、いたずら好きなスヌーピーが隙を見つけてはその毛布を奪い去り、ライナスがパニックに陥る場面がユーモラスに描かれる。しかし、1965年の名作テレビ特番『チャーリー・ブラウンのクリスマス』で彼が披露した静かな演説のように、ライナスにとって毛布は単なる子どもっぽい依存の印ではなく、過酷な現実と向き合うための「精神的な防壁」でもあった。シュルツが描いたこの日常のスケッチは、やがて心理学の領域でも注目される普遍的な人間心理のメタファーとなっていった。