「スマホのブルーライトを浴び続けると視力が落ちる」という言説は広く浸透していますが、眼科学的な観点から見ると、これは正確な表現ではありません。小児における近視進行とブルーライトの関係を調べた複数の臨床研究において、画面から発せられる波長の光そのものが眼球の組織を直接破壊して近視を引き起こすという明確な証拠は確認されていません。
では、なぜデジタル端末の普及とともに子供の急激な視力低下が叫ばれているのか。その最大の理由は、「30cm未満の近距離を連続して見つめ続ける行為(近業)」と「屋外光を浴びる時間の激減」にあります。
毛様体筋が過度に緊張した状態が長く続くと、眼軸長(目の奥行き)が前後に伸びてしまい、一度伸びた眼軸は元に戻りません。これが近視の本質です。さらに、太陽光に含まれるバイオレットライトなどの自然光は近視の進行を抑制する働きを持っていますが、室内で画面ばかりを見ているとこの貴重な光を浴びる機会が失われます。つまり、視力悪化の真犯人は「ブルーライトという光の成分」ではなく、「デジタル端末を使う際の姿勢や長時間の近業習慣」なのです。