この現象の鍵を握るのが、いわゆる「密閉発汗法」と呼ばれる保温作用である。一般的に家庭で広く普及しているサランラップは、旭化成ホームプロダクツ株式会社が製造する代表的な食品用ラップフィルムだ。その主要原料であるポリ塩化ビニリデン(PVDC)は、極めて高い酸素透過気密性と水蒸気遮断性を持っている。
本来は食品の鮮度保持や防臭を目的に設計されたポリ塩化ビニリデンだが、皮膚に直接巻きつけることで体熱が逃げ場を失い、局所的な高温多湿環境が形成される。皮膚表面の温度が上昇すると、体温調節機能が働いて大量の汗が分泌されるが、透湿性のないフィルムに遮られて蒸発できない。この熱と湿気の閉じ込め効果こそが、過剰な発汗を引き起こす物理的からくりだ。しかし、メーカー側も注意喚起するように、製品は人体への直接的な巻着を想定して開発されたものではない点に留意する必要がある。