この名曲の誕生秘話をご存じだろうか。それは、深い絶望とスランプの先にもたらされた奇跡だった。
1977年の夏。ジェフ・リンは2枚組の野心作『アウト・オブ・ザ・ブルー』の楽曲制作のため、スイスのアルプス山脈の麓にある借家に引きこもっていた。しかし、待ち受けていたのは連日の暗い雨と深刻なアイデアの枯渇。13日間、彼は何も書けないまま、ただ灰色の空を見上げて途方に暮れていたという。
ところが14日目の朝、事態は一変する。窓の外には、息をのむような快晴と澄み渡る青空が広がっていた。解き放たれた創作のエネルギー。ジェフ・リンはその日のうちに怒涛の勢いで楽曲を書き上げ、一気にコンセプチュアルな「雨の日のための組曲」を完成させた。そのクライマックスを飾ったのが、まさにこの楽曲だったのだ。長い暗闇を抜けた直後の歓喜。あの楽曲に宿る圧倒的な陽のエネルギーは、計算ではなく真実の感情から生まれたものだった。