ふたりの出会いは高校時代にさかのぼる。舞台となった神奈川県立平塚農業高等学校で、ふたりは同じ時間を共有していた。当時からさかなクンは魚のことばかりを考え、校内でも異彩を放つ存在だったという。休み時間になれば魚のイラストを描き、情熱の赴くままに知識を深めていた彼を、周囲は少し変わった同級生として見ていた。
しかし、鈴木拓の視点は違っていた。奇妙な目で見られることもあったさかなクンに対して、鈴木は至ってフラットに接していた。変に気取ることもなく、過剰に面白がることもなく、ありのままの彼を受け入れていたのだ。放課後に教室で交わした何気ない会話や、変人扱いされがちだったさかなクンの真っ直ぐな瞳を、鈴木は当時から誰よりも理解していたひとりだった。