「森の中で飛んでいる姿を見かけたけれど、ムササビかモモンガかわからない」という声を耳にします。両者を識別する上で最も分かりやすい指標が、体長・体重における圧倒的な大きさの差です。
フィールドワーカーの間では、ムササビは「空飛ぶ座布団」、モモンガは「空飛ぶハンカチ」と表現されます。成獣の数値を比較すると、その差は一目瞭然です。
- ムササビの体格:頭胴長(頭からお尻まで)は約27〜50cm、尾長は約28〜40cmに達し、全長は70〜90cm前後、体重は900〜1,500g(約1kg前後)。大人の猫や小型犬に匹敵するボリュームがあります。
- ニホンモモンガの体格:頭胴長は約14〜20cm、尾長は約10〜14cm、全長は25〜35cm程度、体重はわずか150〜200g前後。大人の手のひらにすっぽり収まるサイズ感です。
日没後の薄暗い森や神社の境内、高尾山などの観察ポイントで見上げた際、「大きな塊がバサッと滑空した」と感じたなら、それは十中八九ムササビです。小鳥やリスのように小回りを利かせて軽やかに枝間を移動している場合は、モモンガの可能性が高くなります。
肉眼や撮影写真で確認できる顔つきの特徴も見分けの決め手となります。モモンガは頭部に対して黒目がちで非常に大きな眼球を持っています。これは完全な夜行性生活に適応し、わずかな光を効率よく取り込むための進化です。一方のムササビも夜行性ですが、顔全体の面積が大きいため、目そのものは顔の比率に対してモモンガほど極端には大きく見えず、額から鼻先にかけて精悍で落ち着いた表情をしています。