日本国内の現場でも期待と慎重な議論が交錯している。日本脳神経外科学会の学術集会でも、脳動脈瘤の内科的治療介入に関するシンポジウムが相次いで企画され、立ち見が出るほどの関心を集めた。臨床の最前線に立つ脳神経外科専門医からは、「高齢や持病のために開頭手術やカテーテル治療のリスクが高い患者に対して、安全に投与できる薬の登場は長年の宿願だった」との声が上がる。
ただし、専門医らは一様に「すべての動脈瘤が薬だけで消滅するわけではない」とも指摘する。大きさがすでに10ミリを超える巨大瘤や、急速に形状が変化する危険な瘤に対しては、依然として迅速な外科的手術が必要だ。画像診断によるリスク分類と薬物療法を組み合わせた、プレシジョン・メディシン(精密医療)の確立が求められている。