北京料理を巡っては、日本国内で長年信じ込まれてきた幾つかの誤解が存在します。
【誤解1:北京ダックは「皮だけ」を食べて肉はすべて廃棄する?】
日本では「贅沢に皮のパリパリした部分だけを削ぎ落として食べる」という言説が広く流布していますが、これは大きな間違いです。本場北京の高級店では、皮のみを砂糖につけて食べる「極上のひとくち」から始まり、続いて皮と適度な赤身肉を一緒に切り分けて荷葉餅に包むスタイルが主流です。さらに残った骨と肉からは濃厚な白濁スープ(鴨湯)を取り、別皿の炒め物へと展開する「一鴨三吃(ひとつのダックを3通りの料理で味わい尽くす)」が正統な楽しみ方です。
【誤解2:中国では焼き餃子が主流である?】
日本の大衆中華では焼き餃子(鍋貼)が定番ですが、本場北京において焼き餃子は「余った水餃子を翌日に温め直して食べるための副次的な調理法」という位置づけが一般的でした。主食として小麦の旨味をダイレクトに味わう水餃子こそが本流であり、焼き餃子をおかずに白米を食べる日本のスタイルは独自の進化を遂げたガラパゴス文化です。