大ヒット作『サマーウォーズ』を経て、自らの制作会社であるスタジオ地図を設立して挑んだ細田守監督。本作における声優演出には、並々ならぬこだわりが詰め込まれていた。従来の個別録音ではなく、キャスト同士が同じ空間で掛け合いを行う収録手法や、実際の距離感を意識したマイク配置が採用されたのだ。
ファンタジー映画という枠組みでありながら、監督が求めたのはどこまでもリアルな「生活の生々しさ」だった。例えば、幼い子どもたちが泣き叫ぶシーンや駆け回るシーンでは、実際に体を動かしながら収録が行われたという。呼吸の乱れや掠れた声までそのまま音源として残すことで、記号的な発声を排除し、ドキュメンタリーのような臨場感を作り出した。