物語の核心となるのは、緻密な時間差を利用した二重のアリバイトリックだ。事件発生当時、完璧な不在証明を持っていた人物が、実は「見立て殺人」の心理的盲点を巧みに突いていたことが解明される。片岡悠介が見抜いたのは、現場に残された一輪の古びた花火と、証言者の時計の僅かな狂いだった。
真犯人として浮上したのは、誰もが事件の犠牲者だと信じ込んでいた人物の身近な協力者だ。愛憎と復讐心が入り交じる複雑な人間関係の裏側には、法の手が届かなかった過去の罪が存在していた。単なる犯人探しにとどまらず、人間の心の闇と救済を描き切ったラストシーンの衝撃は、観る者の胸を強く打つ。