法改正議論において反対派が強く懸念を示すのが、「子どもの名字(姓)」と「日本の伝統的な戸籍制度への影響」です。
法制審議会の試案では、結婚時にあらかじめ夫婦間で「子どもが生まれた際はどちらの姓を名乗るか」を決めておく方式が有力視されています。また、兄弟姉妹で異なる姓を名乗ることは原則として認めず、同一の姓に揃えるルール設計が検討されてきました。これにより、学校や医療機関での混乱を最小限に抑える配慮がなされています。
戸籍制度に関しても、別姓を選択した場合であっても「1組の夫婦と未婚の子」をひとつの戸籍単位とする基本構造は維持可能です。戸籍の筆頭者を定めつつ、それぞれの氏名を明記する方式を採用すれば、国家としての身分関係の公証機能は何ら損なわれません。
世界に目を向けると、夫婦同姓を法律で義務付けている国は国連加盟国の中で日本のみという特異な状況にあります。欧米諸国をはじめ、中国や韓国などのアジア諸国でも別姓や結合姓、同姓の選択が法的に保障されています。国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW)からは、日本の民法750条が女性に対する差別的規定に当たるとして、是正勧告が繰り返し出されている点も無視できない国際基準の現実です。