指先からボールが離れる、ほんの数ミリ秒。その一瞬に、脳内では何が起きているのか。2026年現在の研究で判明したのは、イップスが単なる精神的緊張ではなく、脳の運動野と大脳基底核における神経回路の誤作動(局所性ジストニアの一種)であるという事実だ。
無意識に行っていた「投球」という自動化された動作に対し、強いストレスや結果への恐怖が引き金となって過剰な意識的制御が介入する。その結果、意図しない筋肉の同時収縮が起こり、腕が凍りついたように動かなくなるのだ。投げようとすればするほど、脳が出す命令と実際の筋肉の動きが衝突を起こす。