館内の総合プロデュースと空間デザインを主導したのは、元東京大学総合研究博物館館長の西野嘉章教授である。西野氏が指揮を執った「学術標本コレクション展示プロジェクト」は、大学に眠る学術資料を単なる教育・研究の道具としてではなく、ひとつの芸術的オブジェクトとして提示する極めて野心的な試みであった。従来の系統的な分類展示という常識を覆し、直感的な美と知のネットワークを編み直す作業が行われたのだ。
傾斜をつけた独特のディスプレイ、影の出方にまでこだわり抜かれたスポットライト、そして視線の抜け感を意識した回遊性の高いレイアウト。それらはすべて、来客の知的好奇心を最大限に引き出すための「仕掛け」である。空間そのものがひとつの雄大なアートピースとして完成されており、どこを切り取っても絵になる美しさが漂う。